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対談:篠浦伸禎氏×中西研二「日本精神をもって医療を変え、世界を変える」

昨年、まったく新しい医療セミナーが開催されて話題を呼びました。
30年以上、脳外科医として活躍し、脳の仕組みについて熟知している篠浦氏。日本人の持つ精神性がこれからの医療を変えていくことを知り、「篠浦塾」を広めることで医療の外側から変革していこうとしています。篠浦氏のお話は医療の世界を超え、私たちに人間のあるべき姿を示唆してくれます。

日本精神をもって医療を変え、世界を変える

対談:篠浦伸禎氏×中西研二

篠浦伸禎(しのうら・のぶさだ)●1958年生まれ。東京大学医学部卒業。のち国立国際医療センターにて脳神経外科部長として勤務。1992年シンシナティ大学分子生物学部に留学。帰国後、国立国際医療センターなどで脳神経外科医として勤務。2000年より都立駒込病院脳神経外科医長として活躍し、2009年より同病院脳神経外科部長。脳の覚醒下手術ではトップクラスの実績を誇る。著書に「脳にいい5つの習慣」(マキノ出版)、「人に向かわず天に向かえ」(小学館)など。

中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来24年間で21万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。2012年2月には、日本人のワンネスメディテーター6名(現在は8名)のうちの一人に選ばれ、以降ますます精力的に活動している。
長年のヒーリング活動が評価され、2015年に『東久邇宮記念賞』を、同年『東久邇宮文化褒賞』を受賞
著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。

医療現場を患者側から変えていく手助けを

中西 脳外科医という高度な西洋医療を行いながら、心や食についての大切さについてお話されている篠浦先生ですが、きっかけはあったのですか?

篠浦 私はもともと西洋医療に傾倒していて、脳外科医としてどれだけ手術の数をこなすかということをしてきました。

それが30代のころアメリカに留学し、臨床医を離れて研究職になったことで、脳外科医は手術をしたいけれど、患者さんは手術なんてしたくないんだということに気づきました。患者さんの気持ちを考えないで手術の数を競うなんておかしいんじゃないかと……。その気づきが留学最大の成果でした。その後帰国して、手術も大事だけど患者さんの立場に立った医療方法はないものかと模索していくうちに、統合医療に目を向けるようになったのです。

中西 それが医療の啓蒙(けいもう)活動である「篠浦塾」の設立につながっていくのですね。

篠浦 現代医療の最大の問題点は、医療が医者の論理になってしまって、患者さんの意識と乖離(かいり)していることなのです。

医療は本来、病気を予防して病院に行かないようにしなければいけないのに、医療従事者本位になっているので、病院には患者さんがあふれています。健康の基本は心と体と食です。医療現場がそこを正さないで、薬の投与と手術で済ませているので状況が混乱し、よけい症状を悪化させるのです。それで病院に通い続けることになります。それが西洋医療界の現状なのです。

中西 そうですよね。医療費もどんどん上がって国の財政を圧迫しているのが現状ですね。

篠浦 問題は医療全体のあり方なのに、医療費削減などと言って弱者の切り捨てをしているだけでは、根本的な問題解決になりません。

篠浦塾を立ち上げたのは、病気の予防とか、どういう医療を施す医者がいい医者なのかなど、医療のあらゆる情報を伝え、病気や体にとってどういう方法がいいのか自分で選択できる患者さんを増やすことが目的です。この流れが大きくなれば、医療現場も無視できなくなります。内からではなく、外から医療を変えていこうと思っているのです。


【左】脳と瞑想 最先端脳外科医とタイの瞑想指導者が解き明かす苦しみをなくす脳と心の科学 (サンガ新書071) /【右】脳にいい5つの習慣(マキノ出版

 

病気にならない心・体・食の作り方・摂り方

中西 素晴らしいですね。先生は脳外科医ですが、覚醒下手術という患者さんの意識がある状態で脳の手術を行うことで後遺症を最小限に抑えるとお聞きしました。それが患者さんの立場になった手術ですね。

篠浦 通常の脳の手術は全身麻酔で完全に意識がない状態で行いますが、覚醒下手術は局所麻酔で意識があります。そうすることで脳の機能が悪化していないかチェックすることができます。全身麻酔の手術よりもずっと手間はかかりますが、症状悪化の危険がはるかに少ないので積極的に覚醒下手術をしています。手術をする以上、患者さんの脳の機能を悪化させたくないのです。

聴神経腫瘍という病気があって、その手術は聴力がまず残りません。西洋医療だと「もう片方あるからいいじゃない」という考え方ですが、私は覚醒下手術で聴力を残す手術をしています。「仕方ない」ではなく、全力で悪化させないように努力します。

中西 ガンになりやすいタイプというのはあるのですか?

篠浦 やはり心の持ち方ですね。ストレスを受けたときに脳の血流が低下します。そうすると当然ガンになりやすくなるので、ストレスの乗り越え方をきっちり知っておくといいですね。

中西 それで先生は瞑想の本をお書きになったのですね。

篠浦 瞑想も脳の働きがよくなり、扁桃体をコントロールしやすくなります。そうするとストレスに対してしなやかな精神状態でいられるのです。呼吸法だけでも脳への血流量が違うので、通勤時などを利用して積極的に取り入れるといいでしょう。

中西 なるほど。それから食ですが、先生の食生活のポイントはなんでしょうか?

篠浦 数多くの検証結果から玄米菜食がすべての病気にいいとされています。玄米に煮物とか野菜、要するに日本食ですね。そういう食生活が健康のために一番いいということが科学的にも明らかです。

 

日本人の精神性が今後の世界を変えるカギとなる

中西 私は酵素玄米が好きなのでその話を聞くとホッとします。

篠浦 酵素玄米は食べやすくていいですね。結局、「心、体、食」すべてにおいて日本の文化が一番いいのです。食は和食、体は武道、心的には日本の精神です。この考え方が非常に脳によく、健康的です。この考え方は今後世界的にも重要になってくると思います。

中西 日本人の精神性は脳にいいのですね。最近精神を患う若者が増えてきていますが、日本精神と離れてきてしまっていることにも関係があるのでしょうか。

篠浦 これは本当に脳の使い方なのです。認知症にならない世界共通の性格というものがあって、それは「誠実さ」「寛容さ」「外向性」「自立心」です。実はそれって戦前、日本が大事にしていた道徳心、「教え」そのままですね。そういう日本人の精神性を持ち合わせていれば脳はボケないのです。ストレスに強くなるので、病気になりにくいです。「嘘(うそ)をつくな」「親を敬え」など本当にシンプルなことです。そういうストレスを乗り越えるための考え方の型というのがあるのです。その型がわからないといろいろな脳の病気に直結し、現代社会が抱えている問題に結びついてしまうというわけです。

 

日本精神を取り入れた医療を世界に普及

中西 子どもの頃から染みついた考え方ですね。当たり前なことなのに、いまは伝える場がないのかもしれませんね。

篠浦 そういうことを教えるのが本来の教育ですよ。いまの教育は知識です。そんなものはAI(人工知能)に取って代わられるだけでしょう。そんなことよりも脳全体を使い、人間にしかできないことを覚えていかないといけません。

世界があらゆる分野で行き詰まっています。世界を良くしていくのは、自然に即した本来の日本人の精神性です。

産業革命以降、人類は左脳が勝ちすぎたのです。左脳の特徴の一つは闘争です。相手を絶対受け入れないのです。やはり日本の精神文化のように自然も神も人間もすべてを一体とみなす右脳的な考え方でないと、もう地球は救えないでしょう。

ガンを例にあげると、ガンは街にたむろする不良みたいなものですよ。不良をただ「街から出ていけ」と追い出しても、根本的には解決しません。また戻ってきます。それが西洋医療の方法です。東洋医療的な対応というのは、大人が襟を正してまともな生き方をみせるのです。そうすると若者は自ら反省して立ち直るのです。西洋医療は二元論的で善と悪を分けてしまうけれど、東洋医療は一元論的です。悪いやつなんてもともといない。体に迷惑なものは自然と消えていき本来の姿に戻るだけ、という考え方です。それが東洋的なガンの治療法です。

中西 そうですね。日本はすべてに神を見ているすごい文化を持った国だと思います。それが医療に生かされていないのが残念です。

篠浦 それをこれからやりますよ。日本精神の医療で結果をだし、その医療を産業化します。そうすれば世界が納得するでしょう。先ほどの聴神経腫瘍のように、治せないと言われているものでも悪化させない手術を徹底します。それが日本精神ですよ。日本精神を徹底すればいい医療になるのです。

中西 そう思います。本当に頼れる方が医療界にいてくれてうれしいです。今日はお忙しいところありがとうございました。

(合掌)

 

「いやしの村だより」2017年5月号掲載

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