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イ・ヒョンナンさん×中西研二『地球の危機は希望へのチャンス』

日本の大学で教鞭をとるかたわら、韓国の瞑想学校「樹仙齋」で瞑想を学んでいるイ・ヒョンナンさん。動物や植物からのメッセージを小冊子にまとめ、翻訳して日本にも伝えてくださっています。昨年秋には東京の八王子に瞑想の世界を体感できる「仙ミュージアム」を設立し、精力的に活動されています。「一日一日に集中している」とお話しされ、いま地球に起きているさまざまな現象に対応する生き方を提言しています。

地球の危機は希望へのチャンス

イ・ヒョンナンさん×中西研二

イ・ヒョンナン●1954年韓国生まれ。中央大学で歴史と社会文化論を教えている。樹仙齋仙ミュージアム館長。梨花女子大学校社会学科卒業、一橋大学大学院地域社会研究科で博士学位取得。瞑想には特別に関心はなかったが、日常のある事件をきっかけに呼吸と瞑想という新しい世界に目覚めるようになり、いまは呼吸することが一番楽しいと言う。瞑想を通じて、地球が深刻な危機の状態にあることを知り、このことを人々に知らせて地球の危機を回避するために努力している。

中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。ヒーラー。ワンネストレーナー。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来18年間で20万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。

湧きおこる怒りの感情と向き合って…

中西 李さんの訳された樹仙齋の本を読ませていただきました。大変多く共感できるところがありましたので、今日はお会いすることを楽しみにしていました。

 ありがとうございます。私自身はこの瞑想学校に入ってまだ日が浅く、4年目くらいですが、昨年秋から瞑想を体感できる「仙ミュージアム」という施設を設立したり、樹仙齋の本を韓国語から日本語に訳したりと忙しくしております。

中西 瞑想学校「樹仙齋(スソンジェ)」は韓国で有名なのですか?李 始まって10年以上たちます。いままで私は日本で整体をして、自分なりに修行をしていたつもりでした。ところが、普段はあまり怒りっぽいほうじゃないのに、どうしても怒りがおさまらないことが起きたのです。その時、ふと怒りを感じている自分を客観的に捉えたら、すごく醜く感じたのです。それに気がついた時に「ああ、このまま死んじゃいけない」という気持ちになりました。それでどうしたらいいだろうと、自分を見つめ直したときに呼吸がとても浅いことに気がついたのです。呼吸を整えるにはどうしたらいいのか、そこで初めて「樹仙齋」を知ったのです。瞑想は呼吸法がすごく大事です。最初は呼吸の仕方から入ったのですが、気がついたら瞑想というもの自体に魅了されていました。

中西 実際やってみてどうでしたか?

 始めて1年目くらいは自分を見つめることが楽しくて仕方ありませんでした。時々行っては学んで、毎朝5時から7時まで瞑想をして一日が始まる…という感じでした。

それが昨年あたりから実践されている先輩たちの中で植物や動物と対話できるようになった人が出てきました。それで植物や動物、風や鉱物などのメッセージを聞くと「地球が危ない」と伝えているんですね。環境問題や温暖化など頭ではわかっていたのですが、植物や動物たちが感じる地球の状況はもっと深刻でした。そういうふうに自分に伝わってきて初めて「地球が危ない」と強く感じるようになったのです。それで少しでも自分に何かできないかと、仙ミュージアムの設立や翻訳の仕事を通して多くの人に地球の現状を感じ取ってもらいたいと思っています。昨年の秋からたいへん忙しいのですが、一日一日を集中して生きている感じがします。

中西 なるほど。そういう経緯があったのですね。太陽フレアなどの宇宙現象の影響や福島第一原発の問題、世界中を揺さぶる未曾有の経済危機、内紛…。なんとも騒がしい状況ですが、李さんのおっしゃる地球の危機というものを私自身も肌で感じています。

 今の世の中は物質主義になっていますよね。韓国には仙文化というものがあります。仙人の「仙」ですが、この字は「人」と「山」に分けられます。「山」は自然、宇宙を表しています。仙文化とは人、自然、宇宙と調和しながら生きていくということなのです。だけど物質主義の世の中ではうまくそれが調和できずに全体が病気のような状態になってしまっているのだと思います。

中西 本当にその通りだと思います。韓国は儒教の国といわれていますが、いまでも若者の中まで浸透していますか?

 だんだん変わってきていると思います。19世紀には儒教の精神が末端まで広がるほど人々の精神的な柱になっていたのですが、いまの韓国は経済や社会のスピードがものすごく速いのです。急激な経済発展の陰で、儒教が伝える家族に対する感覚がズレてきてしまっているような気がします。

中西 日本も同じですね。日本人が持っている精神的な指針みたいなものが揺らいでいます。

 日本も過激に近代化してきたのでその反動があるのでしょうね。

 

できるのは自分自身を見つめること

中西 カルキ・バガヴァンは世界全体はマインド(内側の世界)に呪縛された世界、と説いています。そしてマインドの呪縛から脱出できたら世界は完璧に救われるとも。ということは、結局私たちは内側に入らない限り外側の現実を変えられないわけです。では内側を見るとはどうするのかと言えば、それはまさに李さんがおっしゃったように「怒り」というものが表れたときにそれをちゃんと見るということなのですね。

 まったくその通りだと思います。私も怒りが湧いたことでこういう道が開けましたが、そういう機会がなかったらいまどうしていただろうと思います。

中西 多くの人は怒りの感情が出てきても押し込めてしまって、まるでなかったことのようにしてしまいますが、瞑想をするとそれが見えてきます。見えてくれば整理ができるようになります。怒りや悲しみ、その原因となるものを全部見ることによって内側を平和にする。そうすれば外側の世界も争いごとがなくなります。

 実は私たちの次の本の題名が『危機の地球 希望を語る』というものです。つまり危機というのはひとつのチャンスで、乗り越えることによって希望の世界にも通じるということなのです。

中西 そうなんですよ。読ませていただいた本の中からもそういうニュアンスを感じて大変共感したところです。

 地球の危機にどう向き合うか。それは一人ひとりから出発することなのですね。この社会構造の中で生きていると一人では何もできないという挫折感に襲われますが、本当は一人から始められるのです。先日亡くなられたスティーブ・ジョブズさんは自宅のガレージから始めて世界のライフスタイルを変えました。彼の死はそういうことを世界に提言しているような気がします。

中西 本当にそう思います。誰もが小さなことから始めているのですね。あのマザー・テレサも「目の前の小さなことを大きな愛を持ってやるだけです」と言っていました。カルカッタの街で始めた彼女の業績は次第に世界中に伝わり、人々を感動させたわけですから。

 いまの社会の中でそういう気持ちになるというのは難しいことかもしれませんが、やはり一人からの出発なのです。

中西 私は長年、悟りや覚醒の最終段階について疑問に思っていました。本を読んでも曖昧でどうしたら覚醒できるのか、ほとんど自分にはわからなかったのです。でも私たちにできることは何かと考えたとき、その先に答えがあったのです。それは「自分には何もできない」ということに気づくことなんだ、ということでした。

 そうなんですよ。

中西 何もできないから静かに内側を見つめ続けることでバイブレーションを穏やかにし、そしてディヴァイン(高次な存在)にすべてを委ねるということですね。

 内側を空っぽにすることなのですね。「自分」があるから何も入ってこない…。

中西 認められたい、愛されたい…誰でもそうですよ。だけど事実として大自然の営みの中では本当に小さな存在でしかない。そこに気づくことなのです。

 そうですね。「自分には何もない」ということに気づくのは、ほかならぬ自分しかいないのですから。

 

理想の社会をつくる時代がきている

中西 植物や動物が教えてくれるという話をしてくださいましたが、私にも経験があります。インドのワンネスユニバーシティでセミナーを受講していたとき、ワークをした後で部屋に戻ると、部屋が語りかけてきたのです。それから花と会話ができ、道に植わっている大きなマンゴーの木が話しかけてきたりと不思議な体験をしました。

 中西さんも動植物との会話ができるのですね。間もなく発刊される『動物たちの死のメッセージ』(晃洋書房)はそれぞれの動植物が地球の状況について語っているものの拡大版なのです。

私もいままで、動物や植物には迷惑をかけてきた人間なので、お詫びの気持ちも込めて翻訳させていただきました。

いま地球は本当に危機的状況にありますが、それを恐れず小さな実践から始めることで希望へと変えていくことができます。大学時代にユートピアのような共同体ができないか考えていた時期がありますが、それも現実社会の中では無理なことと、遠い昔に諦めていました。でもそれがいまできるんだ、という気がします。東日本大震災は一つの大きなメッセージだったように思います。

中西 確かに大震災の傷跡は、世間的には喧騒の中で意識から薄れつつあるのかもしれません。私は毎月被災地に行っているので、震災を受け入れている被災者たちの中では、分かち合い、助け合いというものがどんどん大きくなってきているのがよくわかります。

 そうやって地表に現れる現象は次元上昇とも関わっていて、いい面も悪い面も知ることでだんだん落ち着いて、次第に自分の生と死に関してもじっくり考える良い機会になるのではないでしょうか。そういう出発点になってほしいですね。

中西 本当に大きな出発点になってほしいですね。今日は、本当にお忙しいところありがとうございました。

(合掌)

「いやしの村だより」2011年12月号掲載

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