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対談:熊崎 巖氏×中西研二 土は人間の命そのもの。微生物の働きで健康的な土作りを…

愛知県知多半島にある広大な光輪農場。熊崎さんが実践している、生態系に逆らわない自然農法は、微生物を活用した土作りにある。だから収穫する野菜はどれも元気が良くて、健康的で、エネルギッシュだ。長年の自然農業の取り組みに、国内ばかりか世界各国から指導を請われ、その自然の摂理に従った農業の教えにより、今や社会変革に発展している国もある。「おいしい、と言ってくれるのが一番うれしい」と言う熊崎さんの願いに応えるかのように、農場の大根はビックリするくらい大きくて、甘くて、おいしかった。

微生物で日本の自然農法を世界に普及
土は人間の命そのもの。微生物の働きで健康的な土作りを…

対談:熊崎 巖氏×中西研二

熊崎巖(くまざき・いわお)●農業に携わり60有余年。南知多で約20町歩農地を自然と共生する有機農法を確立させた「農業組合法人 光輪」創設者。フランス、ブラジル、スリランカをはじめ世界各国の農業指導実績を持ち「雑草は神様の贈物である」という大自然の摂理に順応した有機循環農法を推奨し、『土づくりは人づくり』と語る日本を代表する実践指導家である。現 生命食とクマムシの会代表、農事組合法人「光輪」相談役、知多自然農園会長。

中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。ヒーラー。ワンネスメディテーター。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来20年間で20万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。2012年2月には、日本人のワンネスメディテーター6名(現在は7名)のうちの一人に選ばれ、以降ますます精力的に活動している。著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。

いい微生物が働いているか、匂いでわかる

中西 熊崎さんは、自然農法に取り組まれて何年ですか?

熊崎 62年です。ある農林技官に、「自然の営みをよく観察して、自然に逆らわない農業をするといい」というアドバイスをいただいて自然農法をやってきました。微生物と出合ったのは31〜32年前です。

中西 その頃ですと、琉球大学の比嘉先生が発見し開発したEM菌ですね。


フカフカの畑を踏む


土とまったく同じ成分の人参


医療費削減のため視察に訪れたチャールズ皇太子の主治医

熊崎 はい。EM菌は蘇生型の菌で、酸化した土を改良する起爆剤として使います。こうすると土の中の発酵堆肥、それから雑草と収穫後に残った作物などの有機物から飛躍的に微生物が引き出され、健康的で大きな野菜が大量に作れるのです。

中西 実は、熊崎さんが20ヘクタールの広大な農地をたった9人で自然農法でやっていらっしゃると聞いて、もしかしたらこの農法で日本の農業は救えるのではないかと、今日はワクワクしながらやってきたんですよ(笑)。

熊崎 ありがとうございます。

中西 農場の畑に入らせていただいて、ビックリしました。羽毛布団のように柔らかで、フカフカしているんですね。

熊崎 微生物が働いている土だからです。そういう土は匂いが違うのでわかります。野菜の比較調査で、この畑でとれた野菜は微生物の働きにより体の酸化、老化を防ぐ抗酸化力や免疫力、解毒力、糖度などで高い数値が出ているんですよ。

土も水も、良い微生物が働いていれば独特の香りがします。牛舎や豚舎など、ハエがいないところは家畜の腸内細菌が良くなっている証拠です。

鹿児島に大規模な養豚場がありますが、そこの飼育法が見事です。落ち葉、木の皮、オガクズなどを敷き詰め、その上に豚を飼っている。えさは米や魚が混じった回転寿司の残飯に野菜くずなど。それを30度のタンクに入れ、黒麹菌(くろこうじきん)で発酵したものを食べさせています。その豚の糞(ふん)を熟成させたものが見事な肥料になるのです。この豚舎では浄化槽は必要ありません。

その養豚場の経営者は微生物の専門家ですが、自分で畑を作ったことがなかったのです。だけど豚舎の肥料を使って畑を作ることを勧めたら、見事なソバ畑を作りましたよ。隣りの慣行農業の倍の収穫量です。土がフカフカで香りも良く、予想を超えた微生物の働きに驚いていました。

豚の糞が黒麹菌でそこまでできるのです。見事に自然の循環システムが活用されました。

 

微生物の増殖に水の力を利用する

中西 微生物の力はすごいですね。すると、EM菌がすべてではなく、地域や環境、状況に応じて、その場所にあった菌を使えばいいのですね。それから水も重要視されていますね。

熊崎 はい。微生物の増殖には水はとても重要です。名古屋にあるホテルの水が、ヘドロと悪臭でどうしようもなかったのです。そこに微生物などを加えたら一瞬にして乳酸菌が増え悪臭が消えました。乳酸菌が悪臭の元をえさにして食べてしまったのです。灘のお酒がおいしいのも、あそこの水がいいからでしょうね。酵母菌の発育がいいのです。生き物や食べ物に微生物が介在しないものはないですから、微生物を増殖させるひとつの方法として、水の力を利用することは非常に大事です。

それから、僕は菌の培養に海水を使ったらどうかとずっと考えていましたが、最近ようやくわかってきたことは、海の中で物質が浄化されるとき、新しい菌が増殖するんですね。まるで菌の巣窟のようになる。昔、医学者の千島喜久男博士の学説に「バクテリア、ウイルスは自然発生する」つまり「無から有を生じる」というのがありますが、自然界にはそういう作用があるんですね。その海水で培養すると特別にいい蘇生型の培養ができるわけですよ。そういう意味で、海水は菌の宝庫といえます。ですから、生き物や食べ物の恩恵を受けている人間にとって、蘇生型の菌をいかに増殖するかが、今後の人類にとってのカギになりそうですね。

 

微生物は自然に合わせて土を改良する


こんなに大きな大根


微生物の働きにより、わずか3日で池の底が見えるようになった

中西 自然は実にうまくできていますね。

熊崎 僕もいつもそう思っています。例えば、10アールの畑にカブトムシやコガネムシ、ミミズや線虫、微生物など生き物がいっぱいいる。その生き物が次世代を生んで……と、たえず新陳代謝をしていて、生き物の残骸分量だけで10アール当たり1.2トンになり、さらに、1キロの野菜で1キロの根毛ができる。生き物の残骸と根毛を合わせると相当量の微生物のえさができ、それだけで十分作物を作れるだけの力になります。そういう自然の循環システムを農業にうまく利用すればいいのです。だから、うちの畑では連作していますが、連作は循環システムの理にかなった農法なのです。

中西 なるほど。逆に、連作障害を起こすような土では、本物の健康的な作物は作れないということですね。

熊崎 そうですね。土は、私たち人間の命と言ってもいい。ある大学で、ここでとれた人参の成分分析をしたら、それを育てた畑の土の成分がすべて含まれているということでした。私たちは人参を介在して土を食べているということになります。北海道の知人が60町歩の農地の半分近くを使って人参を栽培しています。

知り合った1年目はできる限り自然に優しい農薬や化学肥料を使っていただくようにしました。なぜなら、北海道のように広大な農地で最初から有機農法に切り替えることは非常に厳しいことですから。5〜10年かけてゆっくり有機農法に切り替えていくことが大事です。除草剤や化学肥料、農薬などを最低限に抑えて、徐々に微生物を応用していくことを勧めました。微生物はそこの自然環境に合わせて土壌を改良してくれます。

4年目になると抗酸化力の高い、腐りにくい人参になり、長距離輸送のリスクが減少しました。他にも、2人の末期ガン患者が元気になったり、馬の死亡率も減少するという効果が報告されています。最近では10人の便秘症の人にモニターとして人参を食べてもらい、便秘解消の実験をしているそうです。

ゲリラ豪雨のときもこの農場は流されずにすんだそうですが、微生物がすんでいると雨水が浸透しやすいのでしょうね。7年目の今では、僕のことを信じてやってきてよかったと喜んでくれています。

 

日本の農業技術と考え方は世界一

中西 TPPの問題もあり、今、日本の農業は非常に大事なところにさしかかっていますね。

熊崎 今までに世界の多くの国々の農業を見てきましたが、やっぱり日本の農業技術と考え方は世界で一番だと思いますよ。この技術をもっと広めて、世界の農業を変えていければと思います。

例えば、フランスに渡った青年は、自然農法でフランス政府から表彰されています。この前、彼のところを訪ねたら、アブラムシが出たのでEM菌もやめて、地下50メートルから引いたきれいな地下水だけで栽培していると言っていました。水だけで作物が採れるのです。そこの畑のメロンがおいしくて、こぼれた種から二世メロンができ、これがさらにおいしかった。知多半島では微生物の違いで、こんなにおいしいメロンはできないですね。ですから、土着の微生物を生かすことが大事なのです。北海道にヤシやバナナが育たないように、その土地にあった微生物がいるはずです。また、田んぼには藁(わら)、畑には雑草、果樹園には落ち葉のように、作物に適した微生物を生んでくれるものもあります。分解するものが違うんですね。

 

医学の世界でもっと微生物の活用を…


広大な農場をバックに話がはずむ

中西 今の日本にとって一番重要な問題は放射能汚染です。熊崎さんは、背丈ほどの雑草を生やしてそこにミネラルを加えれば、それだけで放射能は除去できるということですが、この説が一番現実味がありますね。

熊崎 その方法は、やはり微生物の力を借りるのです。放射能除去にはそれが一番早いと思っています。でも、既存の学説に否定されて、なかなか実用化されません。医学の世界でも、農薬や化学肥料、添加物を使った食べ物を口から入れてガンになったからといって、今の医療でやっている技術と数値のデータでは、根本からガンを撲滅することは難しいでしょう。食べるものから指導し、健康になっていく人の生き様ときちんと向き合うお医者さんが望まれます。アンゴラの刑務所内で受刑者に自然農法を学ばせて、自分で作った野菜を食べるようになってから再犯が減少したそうです。血液が正常になれば判断力が良くなり、精神的にも向上しますからね。日本の医療界も、微生物の世界にまで視野を広げてほしいですね。

中西 本当に、食べ物で人の一生が変わりますからね。

熊崎 僕の知識はすべて自然観察で得たものです。だから大根を食べてもらい「おいしい、健康になった」と言ってもらえることが一番うれしいことなのです。「大根を食べてみてください!」。これが結論ですね(笑)。

中西 今日はおいしい大根をありがとうございました(笑)。

 

「いやしの村だより」2015年5月号掲載

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